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３月２３日
象は怒っていた。
キリンも怒っていた。
フタコブラクダは怒っていなかった。
日本猿の兄弟は蕎麦を食べて唸る。
ゴリラは脱毛症に悩む。
ペンギンは精密機械を壊す。
パンダは筋肉トレーニングを欠かす。
ラッコは哲学に目覚める。
虎は瀕死。
綴っていく、アニマルストーリー。
３月２３日
象は怒っていた。
確かにアフリカに対する思いは強い。
しかし私は生まれも育ちも日本なのだ。
サッカーだって日本代表を応援するし、WBCだって泣いた。
トリノの時もギリギリまで密航計画を練った。
なのになぜ。
なのになぜ、黒人を見るとこうも血が騒ぐのだ！
黒人が私の檻の前を通るたびに、鼻が膨張し、
耳は腫れ上がり、コンタクトがずれる。
闘争本能は掻き乱され、鉄柵に突撃してしまう。
そんな私の事を周りの動物達が、
「変態だ」と言っているのは知っている。
なのに私の体は止まらない。
今日も私は黒人が来ないのを神に祈るだけだ。
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